土地と建物の名義が違う不動産を相続したときは、最初に「今回相続したのは土地か、建物か、両方か」を分けます。親が住んでいた家だからといって、土地と建物の両方が親の所有だったとは限りません。
名義が違うだけで売却できないと決まるわけではありません。ただし、土地と建物をまとめて売るには、それぞれの権利、売却する人、意向を確認する必要があります。一方の相続人だけで他方の所有者の財産まで処分できるとは考えず、まず売却を相談できる範囲を明らかにします。
登記事項証明書は土地と建物を別々に確認する
法務省の案内では、登記記録は土地1筆、建物1個ごとに作成されています。土地と建物の登記事項証明書を取り、所在地・地番・家屋番号、所有者、共有持分、抵当権などを別々に確認します。
固定資産税の通知書は物件を探す手掛かりになりますが、納税通知の宛名だけで売却できる人を確定しないでください。登記名義人が既に亡くなっている場合は、その人から現在までの相続関係も確認します。
メモは、次のように土地と建物で1行ずつ作ると整理しやすくなります。
- 土地:地番/登記名義人/相続手続の状況/土地利用に関する資料。
- 建物:家屋番号/登記名義人/相続手続の状況/現在の利用者。
建物が登記されていない、図面と現況が合わない場合は、権利の整理に加えて別の確認が必要です。未登記建物・境界未確定の不動産を売る前の確認順も参考にしてください。
土地を使える根拠は、名義だけでは分からない
建物の所有者がその土地を使う根拠には、土地の賃貸借、無償で借りる使用貸借、地上権などがあります。親族同士でも、どの関係なのかを最初から決め付けない方がよいでしょう。
契約書、地代の支払い、更新時の書面、過去の合意を探します。登記に賃借権の記載がないという理由だけで、借りる権利もないと判断することはできません。書類が見つからない場合は、関係者が認識している内容と、確認できない事項を分けて弁護士等へ相談します。
土地の賃借権を第三者へ譲る場合、民法612条は原則として賃貸人の承諾を必要としています。ただし、借地借家法上の手続なども含め、契約の種類や売却方法で確認事項は変わります。今回の相続と、その後に第三者へ売却する手続は分けて考えてください。
一体売却を考える前に、各所有者の意向を聞く
土地と建物を同じ買主へ売ることを考えるなら、各所有者が売却を希望しているか、誰が意思を示せるか、いつまでに何を整理したいかを確認します。
例えば「土地は相続したが、建物は存命の親族名義」という場合、まず建物の所有者が売る考えを持っているかが確認の入口です。土地の相続人同士で合意しても、それが建物所有者の合意に代わるわけではありません。これは権利関係を整理するための例です。
話し合う項目は次のとおりです。
- 土地・建物それぞれを売るか、保有するか。
- 建物を使っている人が、引渡しまでにどうするか。
- 売却価格の配分、費用、税金を誰に確認するか。
- 連絡窓口、契約・決済へ参加する人と必要書類。
一体で査定した総額が、そのまま土地所有者と建物所有者の取り分を示すものではありません。価格の根拠と費用を共有し、税務上の扱いは税理士へ確認します。争いのある配分や権利の確定は、不動産会社だけで結論を出さず弁護士へ相談します。
意向が合わないときは、売れる範囲を先に確かめる
土地と建物の所有者がともに希望し、権利と引渡し条件が整理できるなら、一体売却を検討できます。片方が保有を希望する場合は、所有者間での売買、土地だけ・建物だけの売却、現状の利用継続などが候補になりますが、どの方法も実現できるとは限りません。
第三者へ片方だけを売る方法は、残る権利や利用条件が買主の判断に影響します。建物側が借地権付きで売る場合の具体的な比較は、借地上の建物を相続したときの売却・返還・保有で整理しています。
私は、名義を見てすぐに販売方法を決めるより、誰の財産で、誰が何を希望しているかを先にそろえることを大切にしています。意向が合わない段階では売却の決定を待ち、必要な管理と権利確認を進める選択もあります。待つ場合も、登記等の法定期限は別に確認してください。
相談時は、分かる資料だけで構いません
ソルトリゾートの相続不動産売却相談では、土地・建物の資料、各所有者の意向、利用状況を整理し、査定や販売条件の検討につなげます。相続・登記は司法書士、権利関係や意見の対立は弁護士、税金は税理士への確認事項として分けます。
最初は「土地と建物の名義が別でした。どこまでが今回の相続対象か、資料から整理したい」と伝えていただければ大丈夫です。これは相談文の例です。家族全員の売却方針が決まる前でも、分かっていることと未確認のことを整理するところから始められます。
確認した一次情報
2026年9月時点の一般的な情報です。登記記録だけで相続や利用権のすべてを確定できるわけではありません。売却権限、契約の存続、承諾、配分は実際の書類を基に専門家へ確認してください。
