相続した空き家について自治体から文書が届いたら、何を、いつまでに求められているかを確認し、通知元の担当課へ連絡することが先です。売却を考えていても、買主が決まるまで通知への対応を待ってよいとは限りません。

一方、文書が届いたというだけで、直ちに解体や売却を決める必要があるとも限りません。文書の種類、現地の危険、必要な対応を分け、当面の安全確保と今後の使い方を並行して考えます。

文書の表題と、求められている内容を読む

封筒、本文、写真、添付資料は一緒に残し、受け取った日も控えます。最初に確認する項目は次のとおりです。

  • 対象の所在地・建物が、相続した物件と一致するか。
  • 担当課、文書番号、連絡先、回答や措置の期限。
  • 草木、外壁、屋根、ごみなど、どの箇所が問題とされているか。
  • 状況確認の照会なのか、助言・指導、勧告、命令等なのか。
  • 法律や条例の根拠と、求められている作業・報告方法。

相続手続き中、遠方に住んでいる、現地をまだ見られていないといった事情は、期限を過ぎる前に伝えます。通知の内容が分からない場合は、自治体の公式サイト等で担当部署を確認し、「現状の説明だけでよいか、改善計画や写真が必要か」を尋ねてください。連絡しただけで期限が延びると考えず、今後の扱いを確認します。

管理不全空家と特定空家、指導と勧告を区別する

空家法では、放置すれば特定空家等になるおそれがある状態を「管理不全空家等」として、市町村が指導や勧告を行う仕組みがあります。「特定空家等」は、倒壊等の危険や衛生上の有害性など、法律で定める状態にある空き家です。

国土交通省は、管理不全空家等・特定空家等に対する勧告を受けた場合、敷地の固定資産税等の住宅用地特例から除外されると案内しています。単なる照会や通知の受領と、勧告を同じ段階として扱わないでください。

また、特例が外れることを「税金全体が必ず6倍になる」と言い換えることもできません。適用年度や税額は、通知内容と土地の条件をもとに自治体の税務担当へ確認します。命令や代執行等の文書が届いている場合は、法的対応を含めて早急に担当課や弁護士へ相談してください。

まず危険を確認し、工事の範囲を決める

屋根材の落下や塀の倒壊などのおそれがある場所には、確認のためでも無理に近づかないでください。安全な場所から分かる状況を担当課へ伝え、現地確認や応急措置を誰へ依頼するか相談します。切迫した危険には、売却方針が決まるまで待たずに対応を確認します。

修繕や除草で足りるのか、詳しい建物調査が必要なのか、解体を検討する状態なのかは、文書と現況によって違います。複数の相続人がいる場合は、連絡窓口を決め、費用負担や工事を依頼する権限も確認します。相続放棄を検討中など権限が不明なときは、必要な安全対応と財産処分を分けて法律専門家へ確認してください。

修繕・解体・売却は、費用を並べてから選ぶ

自治体へ対応内容を確認したうえで、次の選択肢を比較します。

選択肢 比較すること
必要な修繕をして保有する 工事費、以後の管理費、家族が使う予定
建物を残して売る 指摘箇所、買主に説明する内容、必要な修繕と価格への影響
解体して売る 解体費、権限、税負担、解体後の土地の利用条件
調査をしてから決める 未確認事項、調査費、判断時期、待つ間の安全確保

解体を先に発注する前に、古家付きで売る場合と解体して売る場合の比較も確認してください。利用できる補助制度がある場合でも、契約・着工前の申請が必要かなど、所在自治体の現行条件を確かめます。

売却する方針が決まっても、自治体への連絡が不要になるわけではありません。通知、指摘箇所、対応履歴を仲介担当に共有し、買主への説明、引渡し前の作業と費用、所有者変更時の連絡を整理します。売却だけで勧告等の扱いが解消すると約束せず、自治体に確認します。

通知を持ったまま相談して構いません

私は、通知を受けた焦りだけで大きな支出や売却を決めず、必要な安全対応と、選べる方法を見えるようにすることが大切だと考えています。保有を続けるか迷っている方は、相続空き家の管理・税金・建物状態の確認もあわせて整理できます。

ソルトリゾートの相続不動産売却相談では、通知の指摘内容と現況を踏まえ、査定や売却準備の順番を整理します。行政判断は通知元の自治体、個別の税務は税理士・税務担当、争いや権限の判断は弁護士等へ確認を分けます。「通知が来たが、何から手を付けるか分からない」という段階で構いません。

確認した一次情報

2026年9月確認。通知の名称、期限、条例上の扱い、相談窓口は自治体と個別事情によって異なります。実際に届いた文書をもとに確認してください。