住宅ローンが残る家を子どもや親族が買いたい場合も、家族の合意だけで取引は進みません。売主側では完済に必要な金額と抵当権の扱い、買主側では購入資金を用意できるかを別々に確認します。

売却代金などで完済できるなら、返済と登記の段取りを借入先へ確認します。完済できない場合は、不足をどう扱い、どの条件で抵当権を抹消できるかを債権者へ確認する必要があります。親族が買うから任意売却の承諾を得やすい、という前提にはしないでください。

売主と買主で確認することを分ける

立場 先に確認すること 条件が未確定なら
売主 残高、精算日までの利息等、売却費用、担保の状況 完済や抵当権抹消の見込みを借入先へ確認する
親族の買主 自己資金、借入の必要額、誰が住むか、融資の対象になるか 購入代金を払える前提で契約しない
家族 売却後に住む人、費用負担、居住期間 売買と居住の約束を分けて整理する

売主が現在払っているローンを、子どもがそのまま払えばよいと自己判断することは避けます。所有者を変える手続きと、債務者や保証・担保の扱いは別の問題です。金融機関と登記を担当する司法書士等へ、実際に予定する取引を説明してください。

買主が住宅ローンを使えるか、先に確認する

親族間売買を融資対象としない金融機関もあります。例えばSBI新生銀行の公式FAQでは、親族間の土地・建物の売買について、住宅ローンの申込みは原則できないと案内しています。これは同行の取扱いで、すべての金融機関に共通する結論ではありません。

候補金融機関には、売主との関係、買った後に住む人、価格、資金計画を伝えます。本人が住む住宅の購入と、親が引き続き住む住宅の取得では、確認する資金使途も変わります。一般の住宅購入向けの条件や事前の目安だけで進めないことが大切です。

当社が親族間売買向けの融資先を必ず紹介できる、融資を通せるという案内はしていません。自己資金を使う場合も、その後の生活資金を残せるか、家族で検討してください。

価格は残高だけで決めない

親族に負担をかけたくないからと低い価格にすると、税務上の確認が必要になります。国税庁は、個人から著しく低い価額で財産を譲り受けた場合、時価との差額が贈与とみなされることがあると説明しています。土地・建物の時価は通常の取引価額を基にし、著しく低いかどうかは個別に判定されます。

残高と同じなら問題ない、固定資産税評価額なら安全、一定割合以上なら必ず大丈夫といった決め方はしません。相場の資料と予定価格をそろえ、税理士へ確認します。売主の譲渡所得と買主側の税負担や特例も分けて確認してください。

相場に沿った価格でも、債権者の承諾や買主の融資が自動的に決まるわけではありません。価格の根拠、買主が払える額、完済等に必要な額を並べ、差があればその理由を確認します。

完済できないときは、契約や送金より先に債権者へ

住宅金融支援機構の任意売却は、所定の手続きや価格の確認、抵当権抹消の承諾などを経て進めます。機構の手続きを、他の金融機関へ一律に当てはめることはできません。親族への売却を希望していることも含め、借入先や通知に記載された窓口に確認してください。

希望する価格、費用、買主、時期が認められるか不明な段階で、売買代金を動かしたり名義だけを変えたりしないようにします。すでに督促や裁判所からの通知が届いているなら、家族内の検討中でも期限の確認は続けます。紛争や債務整理、差押え等の法的判断が必要なら弁護士へ相談する範囲です。

売却後に借入が残る場合の確認は、任意売却後の残債と連帯保証人の確認事項で説明しています。売却できたことと、残った債務がなくなることは同じではありません。

住み続ける約束も、売買とは別に整理する

親族が買った後も元の所有者が住むなら、無償で使うのか、賃料を払うのか、期間と修繕・税金等を誰が負担するのかを確認します。家族の口約束だけで、将来も同じ条件で暮らせると決めないことが大切です。融資条件との整合や契約の形は、金融機関と必要な専門家へ確認してください。

親族購入が難しければ、一般の買主への売却や住み替え、借入先への返済相談も比較します。当社では任意売却の相談で、残高と相場、売却費用、届いている通知を整理し、不動産売却の実務として進め方を確認します。債務の減免交渉や税務判断は当社の業務に含みません。

相談は無料ですが、売却が進む場合の仲介手数料・登記費用等は別です。最初は親族による購入を希望していることと、資金の見通しや通知の有無など、分かる範囲からお知らせください。書類の送付は必要なものと方法を確認してからで構いません。

確認した一次情報

※2026年10月4日に確認した一般情報です。実際の契約・融資・税務の取扱いは条件により異なります。