親が亡くなり、実家の登記事項証明書に抵当権が残っている。返済予定表も見つかったけれど、この家を売ってよいのか分からない。こうしたときは、売却価格を決める前に、借入先へ死亡の連絡をし、団体信用生命保険(団信)の加入・適用状況を確認します。
登記に抵当権があることと、今も返済すべき借入れがあることは別です。 団信で債務が弁済される場合もあれば、完済済みでも抹消登記が残っている場合もあります。残債だけを見て売却を諦めず、反対に「団信で全部なくなる」と決めつけずに確認してください。
相続放棄も検討している方は、売却などの処分を進める前に弁護士等へ確認します。債務を含めて相続するかの判断と、相続した不動産をどう扱うかの判断は、順番を分ける必要があります。
1.借入先と団信の保障対象を確認する
手元にある返済予定表、借入契約書、団信の案内、金融機関からの通知を集めます。書類がそろわなければ、分かる借入先へ、相続人として照会する際の必要書類を尋ねてください。
確認する内容は次の4点です。
- 借入れの契約者と、団信の保障対象者は誰か
- 死亡時に団信が有効だったか、請求に何が必要か
- どの借入れの、どの範囲が保障されるか
- 審査中の返済と、弁済決定後の手続きはどうなるか
住宅金融支援機構は、借りていた本人が亡くなった場合、取扱金融機関に連絡して団信の加入を確認するよう案内しています。保障には支払対象とならない場合もあります。他の金融機関の商品も含め、適用の判断は借入先・保険会社へ確認します。
ペアローンや複数の借入れがある場合は、一つの契約の弁済で全債務がなくなるとは限りません。確認が終わるまで、返済を自己判断で止めないことも大切です。
2.残債と登記を照合する
次に、金融機関から確認した債務の状況と、土地・建物の登記事項証明書を並べます。登記には過去に設定した債権額が記載されるため、その額を現在の残高として資金計画へ入れないようにします。
通常の売却で買主に抵当権の負担を残さず引き渡すには、完済や債権者との調整に加え、抵当権を抹消する登記の準備が必要です。完済しただけで、登記の記載まで自動で消えるわけではありません。抹消に必要な書類は借入先へ、登記の手順は司法書士へ確認します。
相続登記も未了の場合は、相続登記と売却の順番を確認し、名義変更と抵当権抹消を誰が、いつまでに進めるか整理します。複数の抵当権や根抵当権、差押えがある場合は、それぞれの権利者と必要な手続きを確認してください。
3.売却価格から費用も引いて考える
団信で弁済されず債務が残る場合は、金融機関に決済予定日時点の完済見積額を確認します。現在の元金だけでなく、利息や手数料等を含めた金額が必要です。
比較に使うのは、次の順番で整理した金額です。
- 根拠を確認した売却見込額
- 仲介・登記・片付け等の売却費用
- 決済日に返す借入れの見積額
- 売却後の納税に備えて確保する資金
売却見込額は確定額ではありません。査定が高い場合だけでなく、価格調整が必要になった場合も試算します。売却時の税金と確認書類も参考に、手元資金がどれくらい残るかを税理士へ確認してください。
売却代金だけで完済できないと分かった場合は、不足分の用意や返済・売却方法について、契約前に金融機関へ相談します。債権者の同意が必要な売却を、不動産会社だけの判断で進めることはできません。
4.売る・保有する・判断を待つ条件を分ける
家族が利用する予定がなく、債務と売却費用を整理できるなら、売却を検討できます。団信による弁済後に住む・保有する場合も、固定資産税、管理、修繕の負担を確認します。
一方、団信の結果や相続人間の意向が未確認なら、売買契約を急がず調査を先に進める選択があります。ただし、相続放棄の申述は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。調査が終わらない場合の期間伸長も含め、家庭裁判所や弁護士へ早めに確認してください。「売却を待つこと」と「期限のある手続きを放置すること」は分けます。
私は、抵当権があるという理由だけで売却を急ぐより、実際に残る債務と家族の希望を確認することを大切にしています。保有する場合の負担も分かったうえで選べるように、判断材料を並べます。
沖縄・大阪の相続不動産売却相談では、物件の状況、価格の見通し、売却費用と確認先を整理します。団信の判断は金融機関・保険会社、債務や相続放棄は弁護士、登記は司法書士が確認する範囲です。最初は「親の家に抵当権が残っていて、団信は確認中です」という一言からで構いません。
確認した一次情報
※2026年9月確認の一般的な情報です。団信の適用、債務の承継、抵当権の抹消、相続放棄の可否は契約と個別事情により異なります。
