相続税を負担した不動産を売る予定があるなら、売却前に「相続税の一部を取得費に加えられるか」を確認してください。対象になれば譲渡所得の計算に反映できますが、相続税をそのまま全額差し引ける制度ではありません。売る人ごとの課税状況、売却期限、選ぶ特例によって扱いが変わります。
期限が近くても、税金を減らすためだけに売却を急ぐ必要はありません。税理士に適用可否と税額を確認し、売却価格や保有費用も含めた手残りで比べることが大切です。
最初に「誰に相続税が課税されたか」を確かめる
国税庁の案内では、相続または遺贈で財産を取得し、その取得者に相続税が課税され、所定の期間内に譲渡することが要件です。相続した不動産なら誰でも使えるわけではなく、家族の誰かが相続税を納めたというだけでも判断できません。
共有不動産を売る場合は、各売主の相続税申告書と取得した持分を分けて確認します。固定資産税や登記時の登録免許税を払ったことと、相続税が課税されたことも区別してください。課税の有無が分からない場合は、相続税の申告を担当した税理士へ確認するところから始められます。
「相続から約3年10か月」だけで期限を決めない
対象期間は、相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までです。「約3年10か月」という目安だけで契約日や引渡日を決めず、自分の申告期限を基に具体的な日付を確認します。国税庁の取得費加算の案内で要件と申告手続を確認できます。
税理士と仲介会社へ、次の予定を共有してください。
- 相続開始日と、確認済みの相続税申告期限
- 売買契約の予定日と、残代金決済・引渡しの予定日
- 測量、相続登記、家財整理など、日程が動く可能性のある工程
契約と引渡しが期限をまたぐ場合、どの日を税務上の譲渡日として扱うかを自己判断しないことが大切です。仲介会社が組む日程と税務上の判断をそろえてから、売主・買主双方が実行できる予定にします。
税理士へ渡す書類と、比較してもらうこと
相談時には、相続税の申告書一式、遺産分割の内容が分かる書類、登記事項証明書、被相続人の購入時の契約書や領収書、売却予定価格・費用の見積もりを手元に集めます。売買契約済みなら、その契約書と決済予定も加えてください。全てそろうまで相談を待つ必要はなく、不足しているものを分けて伝えます。
確認したいのは、次の四点です。
- 自分と今回の不動産が特例の対象になるか。
- この不動産について加算できる相続税額はいくらか。
- ほかの特例と比べたときの税額と、適用に必要な条件は何か。
- どの書類を、いつまでに用意し、申告するか。
加算額には計算上の上限があり、財産ごとに計算します。相続税の総額を売却価格から丸ごと引く試算は避けてください。申告には取得費加算の計算明細書や土地・建物用の譲渡所得の内訳書などが必要です。
そもそも購入時の取得費が分からない場合は、相続不動産の譲渡所得と確認書類から整理すると、税理士へ確認する材料をまとめやすくなります。
空き家の3,000万円特別控除とは選択を確認する
同じ家屋や敷地について、相続空き家の特別控除と取得費加算を重ねて使うことはできません。国税庁の相続空き家の特例には、取得費加算などの適用を受けていないことが要件として示されています。
両方の候補になりそうでも、控除の名前や上限額だけで有利不利を決めないでください。適用条件、税額、工事や書類取得にかかる費用、売却日程をそろえて比較します。空き家側の条件は相続空き家の特別控除の確認順で整理しています。
期限内に売るか、条件を整えて待つか
売却を比較するときは、「想定売却価格」「売却費用」「税理士に確認した税額」「売却までの保有費用」を同じ紙に並べます。期限内の売却で税負担が減っても、大きな値下げや無理な日程が必要なら、手残りが増えるとは限りません。
私は、特例を使えることと、その売却条件で進めることが家族にとってよいかを分けて考えます。条件が整えば売る、利用予定があれば保有する、判断材料が足りなければ専門家へ確認してから決める。そのために、税額を推測で埋めず「未確認」として残しておきます。
ソルトリゾートの相続不動産売却相談では、物件の状況、価格の見込み、売却準備と日程を整理できます。特例の適用判断と税額計算は税務署・税理士へ確認します。「相続税の申告は済んでいて、売却時期と手残りを比較したい」という段階でもご相談いただけます。個人情報を含む申告書を最初からLINEへ送る必要はありません。
