相続した空き家を売ったとき、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。ただし、「相続した空き家ならすべて対象」ではありません。
主な確認点は、被相続人の居住状況、建築時期、区分所有でないこと、相続後の利用、売却期限、売却代金、耐震または取壊し、相続人の数、他の特例との関係です。2024年1月1日以後の譲渡では、売却後に一定期限までに耐震改修または取壊しを行う形も対象になり得ます。
片付け、賃貸、解体、売買契約を先に進めると、証明や要件へ影響する場合があります。売却方法を決める前に、物件所在地の市区町村と税務署・税理士へ確認してください。
まず確認したい6つの要件
1. 対象となる家屋か
対象となる「被相続人居住用家屋」は、原則として次の条件をすべて満たす家屋です。
- 相続開始の直前に被相続人が主として住んでいた
- 1981年5月31日以前に建築された
- 区分所有建物登記がされていない
- 相続開始の直前に被相続人以外の居住者がいなかった
一般的な区分所有マンションは対象になりません。母屋と離れがある場合や店舗兼住宅の場合は、対象となる家屋・敷地の範囲を個別に確認します。
2. 老人ホーム等への入所があるか
被相続人が亡くなる直前に老人ホーム等へ入所していた場合でも、要介護認定等、入所前の居住、家財の保管、他人へ貸していないことなど、一定の要件を満たせば対象になる可能性があります。
住民票だけでは判断できません。施設の契約書、介護保険被保険者証、電気・水道の使用状況、家屋の利用状況など、市区町村が確認書を交付するために求める資料を確認します。
3. 相続後に使っていないか
原則として、相続の時から譲渡、耐震改修、取壊しまでの対象期間に、家屋や敷地を事業、賃貸、居住に使っていないことが要件になります。
短期間だから問題ない、無償で親族に使わせただけだから対象、と自己判断しないでください。賃貸、店舗利用、親族の居住、駐車場利用などを検討している場合は、始める前に税務署・税理士へ確認します。
4. 売却期限内か
特例の対象となる譲渡期間は2027年12月31日までです。さらに、個別の相続について、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。
「相続から丸3年後の日」だけで判断せず、死亡日から該当する年末を確認します。相続登記、家財、境界、耐震、取壊し、販売期間も必要になるため、期限直前からの準備では間に合わない可能性があります。
5. 売却代金が1億円以下か
売却代金は1億円以下である必要があります。土地や建物を分けて売った場合、他の相続人が一体利用部分を売った場合などは、対象期間中の売却代金を合算して判定します。
最初の売却時に1億円以下でも、後に残りの部分を売って合計が1億円を超えると、修正申告と納税が必要になる場合があります。共有者が別々に売る場合も、契約前に情報を共有してください。
6. 耐震・取壊しの条件を満たすか
主な売却方法は次の3つです。
| 売却方法 | 主な確認 |
|---|---|
| 耐震基準を満たす家屋と敷地を売る | 売却時の耐震基準と証明書 |
| 家屋を取り壊して敷地を売る | 取壊し前後の利用と証明 |
| 現況で売り、買主が後で対応する | 売却年の翌年2月15日までの耐震改修または取壊し |
2024年1月1日以後の譲渡では、売却後に買主が一定の耐震改修または取壊しを行う方法も対象になり得ます。ただし、期限までに完了し、証明書類をそろえる必要があります。買主の協力が必要になるため、売買契約へ条件と確認方法を明確に入れます。
解体は元に戻せません。再建築、境界、残置物、解体費、固定資産税、買主需要を確認せず、特例だけを理由に先行しないでください。相続空き家を売る前の管理・建物確認も参考にしてください。
控除上限は相続人の数で変わる場合があります
2024年1月1日以後の譲渡で、対象家屋・敷地を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上の場合、一人当たりの控除上限は2,000万円です。2人以下なら最高3,000万円ですが、実際に控除できる額は各人の譲渡所得が上限です。
登記名義だけで相続人の数を判断できない場合があります。遺産分割と売却方法を決める前に、誰が対象資産を相続し、誰が売主になるかを税理士・司法書士へ確認します。
取得費加算との併用はできません
同じ家屋・敷地について、被相続人居住用財産の特別控除と、相続税額を取得費へ加算する特例は併用できません。相続税を納めている場合は、どちらの要件を満たし、結果がどう変わるかを税理士に比較してもらいます。
一般の譲渡所得計算、取得費、譲渡費用、所有期間は、相続不動産を売ったときの税金と書類で整理しています。
必要書類は売却後ではなく先に確認する
確定申告では、売却方法に応じて次のような書類が必要です。
- 譲渡所得の内訳書
- 相続で取得したこと、建築時期、区分所有でないことが分かる登記事項証明書等
- 物件所在地の市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」
- 売買契約書の写しなど売却代金が分かる書類
- 耐震基準適合証明書等、または取壊しを証する書類
登記事項証明書は、不動産番号等の明細書を使うことで添付を省略できる場合があります。必要書類の組合せは、耐震済みで売る、取壊し後に売る、売却後に買主が対応する場合で異なります。
「被相続人居住用家屋等確認書」は、市区町村が特例の適用を決定する書類ではありません。市区町村が一定の事実を確認する書類であり、最終的な特例適用は税務署の判断です。発行に必要な資料と期間を物件所在地の窓口へ早めに確認してください。
適用できない可能性がある場面
次のような場合は、特例を前提に価格や手取りを決めないでください。
- 1981年6月1日以後に建築された家屋
- 区分所有建物登記がされたマンション
- 相続開始の直前に被相続人以外も住んでいた
- 相続後に賃貸・事業・居住へ使った
- 売却期限を過ぎる
- 一体利用部分などを含む売却代金の合計が1億円を超える
- 親子、夫婦など特別な関係にある人へ売る
- 同じ資産で取得費加算など併用できない特例を使う
老人ホーム入所、店舗兼住宅、母屋と離れ、共有相続、売却後の取壊しは追加条件があります。個別資料を見ずに可否を断定できません。
売却と税務の確認を同時に始める
私は、特例が使えるかもしれないという理由だけで、家族の合意や建物確認を飛ばして契約を急がせないことを大切にしています。ソルトリゾートは、沖縄の相続空き家について、建物状態、家財、境界、査定、耐震・解体を含む売却条件を整理します。税務署・税理士へ確認するための物件資料と売却案を揃え、売る・管理して待つ・専門家確認を先にする選択肢を比較します。
沖縄の相続不動産売却サポートでは、特例を使えると約束するのではなく、確認期限と担当範囲を切り分けます。家族の合意や物件状態を置き去りにして契約を急がせることはありません。
確認した一次情報
- 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
- 国税庁「被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」
- 国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報です。特例の適用期間、相続ごとの売却期限、居住・利用状況、耐震・取壊し、売却代金、相続人の数、必要書類は個別条件で変わります。最終判断は税務署・税理士、確認書は物件所在地の市区町村、登記は司法書士へご確認ください。
